中山七里の著作「境界線」この作品は映画化にもなっている「護られなかった者たちへ」も続編のミステリー小説です。前作は東日本大震災で困窮している人たちが生活保護を受けられない中、不正に受給している人がいるという問題をテーマにしたミステリー作品で今回は被災者でまだご遺体が発見されていない方の身分を利用した犯罪がテーマになった作品です。
「境界線」
「護られなかった者たちへ」
あらすじ
妻の死体が海岸で発見されたと宮城県警の笘篠誠一郎に連絡があった。笘篠の妻は東日本大震災に被災して、それから行方不明であった。笘篠が現場に駆けつけるとそこには妻とは似ても似つかない女性の死体があった。しかし、彼女が持っていた身分証は写真の箇所以外はすべて妻のものと一緒だったのだ。
その後、公園で発見された別の死体からも偽造の身分証が見つかった。この死体は海岸で見つかったのとは違く顔がブロックで潰されていて自殺ではなく、他殺だと思われた。しかし、この二人の身分証はどちらも偽造で元になった人物は東日本大震災の被災者で行方不明者であった。笘篠は何か被災者を利用しているものがいると感じた。
登場人物
穂村 漁師、女の死体を海岸で発見
笘篠誠一郎→元気仙沼署、現在宮城県警勤務。妻を震災で失う、公務で持ち場に着いているときに。
蓮田→笘篠の同僚(宮城県警)
鵠沼(くげぬま)駿→震災復興団体代表、五代の同級生
石動(いするぎ)課長→気仙沼署課長
唐沢検視官
両角(もろずみ)→県警鑑識課
一ノ瀬→気仙沼署勤務元笘篠の同僚
小宮山→三課の刑事、
栗俣→ナミ(笘篠の妻の免許証を偽造所持)が勤務するデリヘル店の店長
荻野雄一→田中の偽名を使ったナミが最後の日に相手した客
枝野基衡→山田の偽名を使ったナミが最後に相手をした客。ナミと小中学校の同級生。スクールカーストの底辺。
鬼河内珠美→源氏名ナミ、笘篠奈津美を騙っていた女性。仙台から中学卒業時に栃木に引っ越す。スクールカーストのトップだった不良。両親は引っ越し先の宇都宮でリサイクルショップを営み、そこの従業員2人を殺害した。
曽我→鬼河内の住むアパートの大家
来宮(南署の捜査員)
天野明彦→公園で殺害された姿で発見される。氷室冷蔵の社員。偽名を使っており本名は真希竜弥、コンビニ強盗で懲役9年。出所後の消息不明
真希菜穂子→真希竜弥の母
東良主任看守→真希が服役していた刑務所の看守
室伏→氷室冷蔵主任
天野志保→明彦の妻、死体が明彦のものではないと証言。また明彦は震災で行方不明になっていたと伝えた。
久谷→元町議、真希の保護司
五代良則→元服役囚(詐欺罪)、エンパイアリサーチ社(調査会社→名簿屋)代表、鵠沼の同級生
井筒署長→南署署長
東雲管理官→宮城県警
溝井→行方不明者の情報が入ったハードディスクを売り捌いていた。
添田→HALシステム社員、鵠沼、五代と悪徳消費者金融からお金を騙し取る。
古賀→鵠沼のかつての隣人
わからなかった言葉
閑古鳥→カッコウのこと
焦れる(いられる)→イラつく
相身互い(あいみたがい)→同じ境遇の人を同情すること
春を鬻ぐ(ひさぐ)→売春する
安普請(やすぶしん)→安い費用で家を建てること
下手の横好き→下手なくせに、その物事をむやみに好み、熱心なこと。
船頭多くして船山に登る→ 指図する人間が多いために統一がとれず、見当違いの方向に物事が進んでしまうたとえ。
狷介さ(けんかい)→片意地
縋る(すがる)
言下(げんか)に言う→言うか言わないかのうちにすぐ言う。